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映画『 コリーニ事件 』という映画を観ました。

Amazon Prime Video のおすすめに出てきて、レビューの星の数が4.5と高評価だったので観てみました。ドイツで制作された映画です。

作品のあらすじ

この物語は新米弁護士ライネンが主人公の映画です。

ライネンはある殺人事件の国選弁護人に任命されます。しかし、事件の被害者であるハンス・マイヤーは自分が幼い頃からお世話になった人でした。 私情を挟むことなく弁護を引き受けるのは難しかったのですが、恩師の助言で弁護を続けることになります。

被告人であるコリーニは事件の動機について黙秘しており、審議が進まないように見えたのですが、殺害に使われた凶器をきっかけにライネン弁護士は事件の真相に迫っていきます。

被害者ハンス・マイヤーと被告人コリーニをつなぐ過去が明らかになったとき、ドイツ国家の不都合な真実が法廷で突き付けられます。

感想

全体を通して、たいへん見ごたえのあるサスペンス映画でした。

舞台の中心が裁判所なので法廷ミステリーに分類されます。 すべてのシーンがシリアスで、事件の重大さを物語っていて、ドラマに入り込みやすい作品でした。

タイトルを聞いたことのない作品だったこともあり、またアマプラの第三者の高評価が必ずしも自分の趣味趣向に一致するとは限らないので、観る前はそれほど期待していませんでした。

ところが、冒頭で衝撃的な殺人シーンがあり、被告人は何も話さないという設定が突きつけられます。 被告人は何も話さないので、いったいどうやって物語が進んでいくのかと思いきや、凶器から進展するというのが斬新な設定でした。

殺人事件を題材にした推理ものであれば、残された凶器から犯人を見つける過程がよくあります。 でもこの作品はすでに犯人は捕まっていて裁判にかけられているので、凶器から事件の動機に迫っていくことが自分には目新しかったです。

動機を推理要素とした理由は、裁判において量刑を判断するのに動機も重要とされるからでしょう。ですので、犯罪の動機について調べたり被告人自身に話してもらう必要があるのです。

被告人のコリーニは、なぜこの凶器を使ってハンス・マイヤーを殺したのか?手元にその凶器しか無かったのか?それとも事件を混乱させるためにあえて用いたのか? そういった想像があちこち膨らんでいきました。

ですが、ライネンは凶器からヒントを得て事件の動機に迫ることができます。それは幼い頃に被害者のハンス・マイヤーに世話になっていたからでした。


ライネンは世話になった恩人と言えるハンス・マイヤーが殺されたので、内心は被告人のコリーニを恨むような気持ちはあったと思いますが、表には出さず弁護士としての態度を貫いています。

自分にとって敵とも呼べる人物を弁護しなければいけないなんて、冷静に弁護できるか怪しいことは承知ですよね。 それでも法廷で戦うことを決めます。新米だからなのか、弁護士という職業からくる使命感なのかわかりません。

とっとと有罪にしてしまえという圧力を受けながらもコリーニの立場から戦うことを選んだライネンを応援したくなる気持ちが芽生えました。


題名のコリーニは被告人であるコリーニを指しているわけですが、主人公は新米弁護士のライネンでしたね。

ライネンはしっかりとした弁護士ですが、どこか幼く新米という名がふさわしい感じが映像から感じられました。 その理由は、ライネン以外の登場人物に白髪の男性が多いことでしょうか。 年齢差からくる印象がライネンを子供っぽく見せているのでしょう。


被告人は殺人事件を起こしているので有罪になるのは当然のように思えます。証拠もあるので有罪が妥当なはずです。

しかし、ライネン弁護士のがんばりによって法廷で”ドイツ史上最大の司法スキャンダル”が明るみに出たことで本当に有罪にして良いのか悩んでしまいます。 映画のなかの陪審員はもちろん、映画を見ている私自身も。

犯罪の動機が明らかになり、ミステリーとしての物語はそこで一旦終わるのですが、その後に被告人のコリーニに悲劇が起こります。 その悲劇は私自身少し予想はできたのですが、起こったと伝えられるとやっぱり悲しいという感情は拭えませんでした。

動機という謎が明らかになったと同時に新たな思案が出てきて幕を閉じた映画でした。

おわりに

この映画は同名の小説が原作になっていることを、映画を見終わってから知りました。

原作の著者は知る人ぞ知るドイツの現役弁護士(※) フェルディナント・フォン・シーラッハ で、私の記憶では『犯罪』『罪悪』という短編ミステリーで知名度を高めた作家です。 いずれも日本語訳の文庫本があります。 (※)2022年8月時点

殺人でもなくホラーでも無い、グロテスクなサスペンスである『犯罪』『罪悪』もおすすめです。 『 BODY CAM ~アメリカ警察24時~ 』 とか『 密着!アメリカ裁判24時 』のように、どんなことが起こるのかわからず、またその出来事が目を背けたくなるような暴力だったり事故ではないかと、どきどきと緊張する感じに似ています。

機会があればこれらの作品の感想も書いてみようと思います。

コリーニ事件(字幕版) (2019)
満足度(最大星5つ)
コリーニ事件のチラシ U-NEXTで『コリーニ事件』を観る
Amazon prime video で『コリーニ事件』を観る

本作以外のミステリー小説や映画・ドラマ作品の感想文も書いています。 「推理小説・映画」の一覧ページ からご覧ください。

オススメ記事 観たい作品がありすぎる。推理・ミステリー映画を観るならU-NEXTがおすすめ


最終更新日: 2022年09月03日(土) / カテゴリー: 推理小説・映画