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漫画『月光ゲーム』 を読了しました。有栖川有栖氏の推理小説『 月光ゲーム Yの悲劇'88 』を原作とした推理漫画です。
この本を選んだのは、有栖川有栖さんのデビュー作である小説版の『月光ゲーム Yの悲劇'88』を読みたかったのですが、本屋に無かったので同じ読むなら小説を読むよりも漫画のほうがすぐに読めるだろうと思って買いました。 漫画の存在は月光ゲームについて調べている最中に知りました。
この物語は英都(えいと)大学推理小説研究会に所属する江神二郎(えがみ じろう)と有栖川有栖(ありすがわ ありす)が主人公の物語です。
江神とアリス(有栖川有栖の通称)を含む英都大学推理小説研究会のメンバー4人が夏合宿と称してキャンプへ出かけます。 キャンプ場では他大学の学生と合同でキャンプを行うことになるのですが、火山の噴火によってキャンプ場に閉じ込められてしまいます。 キャンプ場ではキャンプ仲間の失踪事件と連続殺人事件が起こります。
殺人現場の状況や残されたダイイング・メッセージから探偵役の江神とアリスが事件の謎を解く物語です。
外部から閉ざされた環境で事件が起こる、『クローズド・サークル』もののミステリ作品です。
わたしがこの本を読んで、いちばん心に残ったところは、ダイイング・メッセージを含めて物的証拠から導かれる合理的な謎解きです。
謎解きのレベルは難しすぎず簡単すぎるわけでもない感じで、 火村英生の推理 と同じくテレビドラマにしても十分成り立ちそうです。
本格推理のヘビーなファンであっても、自分が知らない新しい謎に出会う快感は毎度あるので完成度は高いと思います。
作者の有栖川有栖さんの作風ですが、作品の構成は出題編となる前半部分のストーリーで事件の謎と証拠が提示されるので、謎解きが展開する物語の後半に入る前に読者自身が犯人を推理できる犯人当てミステリーとして楽しめます。
ひとつ不満な点をあげるとすれば、登場人物が多く主人公以外の個性が全く入ってこないのが残念ですね。 このことが謎解きの邪魔をしているのかなという感想です。
小説で人物や状況をイメージしながら時間をかけて作品を味わうのも楽しいですが、 漫画ならその点をイメージする処理が省けて短い時間で作品を読めるのが良いですね。
文章を絵として描ける作品だからこその醍醐味です。叙述トリックは映像化は無理ですし。
ただやはりあらかじめ画が提示されて想像をふくらませる余地が限定されるので小説と漫画は異なります。 今回はあくまで漫画の『月光ゲーム』を楽しむことができました。
付録作品として月光ゲームのほかにもうひとつ『殺刃の家(さつじんのいえ)』という短編作品が収録されています。 こちらの作品はアリバイ トリックが値打ちのある作品です。
月光ゲーム (ISBN: 9784861272660) | |
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満足度(最大星5つ) | |
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最終更新日: 2020年09月19日(土) / カテゴリー: 推理小説・映画