
重要
この文書は『 ノートパソコン購入ガイド 』の一部です。文書の文脈に不明な点がある場合は はじめのページ から読み返してください。
Lenovo のサイトには大量の ThinkPad があって「Xシリーズ」とか「Tシリーズ」だとか、それぞれの違いがほとんどわかりません。
本記事では、自分の用途にマッチする ThinkPad を探そうとしている人のために、ThinkPad シリーズごとの特長をまとめて比較できる情報を提供します。
単純なカタログスペックの比較は ThinkPad の公式サイト やパソコン専門誌( ASCII 、 PC Watch ) などのレビュー記事を参照ください。
製品スペックや機能については Lenovo 公式サイトの2025年3月時点の情報を参照しています。
この記事の目次
シリーズ比較表
シリーズ個別の特長説明は後回しにして、まずは価格、性能、用途で比較した表です。
性能と用途については私個人の経験による評価です。この記事を書いている時点で私は ThinkPad P14s AMD を使用中でして、「Pシリーズ」を中間の位置づけとして良し悪しを判断する目安になっています。
Lenovo 製品は購入時に製品をカスタマイズできますが、この記事ではカスタマイズせず製品ページに表示されているスペックで評価しています。
価格と性能
価格と性能の評価を「低」「中」「高」の3段階に分けてます。
シリーズ | 価格 | 予算 | 性能 | |
---|---|---|---|---|
X9 | 高 | 19~22万円 | 高 | ビジネス |
X1 (Fold除く) | 高 | 19〜30万円 | 高 | ビジネス |
X (Detachable 除く) | 中〜高 | 15〜26万円 | 中~高 | ビジネス |
P | 中〜高 | 13〜38万円 | 中~高 | ビジネス |
T | 低〜高 | 13〜24万円 | 中~高 | ビジネス |
L | 低〜高 | 10〜29万円 | 低~中 | ビジネス・家庭 |
E | 低〜中 | 9〜12万円 | 低~中 | ビジネス・家庭 |
Z | 高 | 17万円 | 高 | ビジネス・家庭 |
価格は2025年3月現在。
性能の「中」判定となるスペックの目安は以下の通りです。
- メモリ: 16GB
- CPU: AMD Ryzen 5 Zen 3, Zen 4 または Intel Core i5 11~13世代 / Core Ultra 5
- SSD: 512GB
業務用途
ThinkPad はビジネス用途として開発されているので仕事にぴったりのノートパソコンです。業務内容の違いは、パソコンにかかる負荷の違いとして認識してください。
評価を「○=向き」「△=どちらかといえば不向き」「☓=不向き」の3段階に分けてます。
ブランド | RAW画像・映像編集 | 科学技術計算 | ソフトウェア開発 | 2D,3Dグラフィック制作 | ライブ動画配信 |
---|---|---|---|---|---|
X9 | ○ | ○ | ○ | △ | △ |
X1 | ○ | ○ | ○ | ○ | △ |
X | △ | △ | △ | △ | △ |
P | ○ | ○ | ○ | ○ | △ |
T | △ | △ | ○ | △ | ☓ |
L | ☓ | ☓ | ☓ | ☓ | ☓ |
E | △ | △ | △ | △ | ☓ |
Z | △ | △ | ○ | △ | △ |
ブランド | プレゼン資料作成 | データ入力 | ビデオ会議 | 写真・動画視聴 |
---|---|---|---|---|
X9 | ○ | ○ | ○ | ○ |
X1 | ○ | ○ | ○ | ○ |
X | ○ | ○ | ○ | ○ |
P | ○ | ○ | ○ | ○ |
T | ○ | ○ | ○ | ○ |
L | ○ | ○ | ○ | ○ |
E | ○ | ○ | ○ | ○ |
Z | ○ | ○ | ○ | ○ |
家庭向け用途
正直に言うと家庭向きに ThinkPad はオーバースペック(性能過剰)です。 大量の資料を開きながらレポートを書くように、同時に複数の作業をする人や、趣味で動画や写真など大容量データを処理したい人には向いています。 3Dゲームに対応する性能はあるものの、ゲーム機として常用するには使い勝手が悪いと思います。
評価は3段階「○=向き」「△=どちらかといえば不向き」「☓=不向き」に分けてます。
シリーズ | 動画視聴 | ブラウジング | 写真加工 | 年賀状作成 |
---|---|---|---|---|
X9 | ○ | ○ | ○ | ○ |
X1 | ○ | ○ | ○ | ○ |
X | ○ | ○ | ○ | ○ |
P | ○ | ○ | ○ | ○ |
T | ○ | ○ | ○ | ○ |
L | ○ | ○ | ○ | ○ |
E | ○ | ○ | ○ | ○ |
Z | ○ | ○ | ○ | ○ |
シリーズ | チラシ作成 | 家計簿 | 3Dゲーム | ビデオ通話 | ライブゲーム実況 |
---|---|---|---|---|---|
X9 | ○ | ○ | △ | ○ | △ |
X1 | ○ | ○ | ☓ | ○ | △ |
X | ○ | ○ | ☓ | ○ | △ |
P | ○ | ○ | △ | ○ | △ |
T | ○ | ○ | △ | ○ | ☓ |
L | ○ | ○ | ☓ | ○ | ☓ |
E | ○ | ○ | ☓ | ○ | ☓ |
Z | ○ | ○ | ☓ | ○ | △ |
シリーズ別解説
ここからはシリーズ個別に特長や用途を解説します。
上の比較表で示したことを、やや詳しく文章で説明しています。
X9 シリーズ

AI に最適化された設計
- Aura Edition と題して、インテルと協力して開発された独自の AI 対応機能を備えている
- Lenovo AI Now という、ローカルLLMを使用してユーザーの作業方法などを学習しドキュメントの整理やデバイス管理などのタスクを自動化する。
ThinkPad の特徴であった TrackPoint が廃止されている
幅広い用途に対応できる性能 ※3Dモデリングや大規模な映像制作など大容量データで高いGPU性能を必要とする作業は除く
持ち運びしやすい薄型軽量なボディ
液晶サイズは14型と15型のみ
価格は高め。2025年3月時点での購入予算は19〜22万円
X1 シリーズ

- 主力で人気のシリーズ
- ハイスペックで先進的なノートパソコン
- 信頼性と耐久性のある堅牢なハードウェア
- 本体重量はおよそ 1kg と軽量で持ち運びも問題なし
- 液晶サイズは14型が主流
- 価格は高め。2025年3月時点での購入予算は19〜30万円
X1 のなかでもいろいろな種類(モデル)がある
- マルチタスクをこなすパワフルさと携帯性のバランスを重視した「Carbon」
- A4用紙サイズ以下のコンパクトなボディの「Nano」
- 360度ヒンジを備えタブレット、テント、スタンドモードでも使用できる「2-in-1」
- ディスプレイが折り畳める 「Fold」
Xシリーズ

- モバイルノートパソコンの代表格
- SIM カードを挿入すれば携帯電話と同じように Wi-Fi なしで通信可能
- CPUやメモリは複数タスクをこなすためのビジネスユーザー向けで高性能
- 液晶サイズは13型が主流
- 価格は高め。2025年3月時点での購入予算は15〜26万円
Pシリーズ

- ハイエンド モバイル ワークステーションという位置づけ
- 複数のアプリケーションを使いながら資料を作成するといった、マルチタスクの性能を重視
- 映像編集や図面の制作などグラフィック性能を重視
- 3Dゲームに対応する十分な性能はあるもののゲーム向きではない
- CPUやメモリはワークステーションとして高性能
- 液晶サイズは14〜16型
- 価格の範囲が広い。2025年3月時点での購入予算は13〜38万円
Tシリーズ

- 中間的でスタンダードと呼べるモバイルノートパソコン
- 表計算ソフトを使いこなした事務処理や営業用のプレゼンテーション資料作成はもちろん、ビデオ会議で画面共有しながらのマルチタスクも可
- 液晶サイズは14〜16型とあるが14型が主流
- CPU は Intel Core、AMD Ryzen AI、Snapdragon とカスタマイズ豊富
- 趣味用途で高い性能を持ったパソコンが欲しいユーザーにも最適
- 画像編集、イラスト作成、映像編集
- ソフトウェア開発
- ただし3Dゲームには不向き
- 価格は中くらい。2025年3月時点での購入予算は13〜24万円
Lシリーズ

- 価格を低く抑えたシリーズ
- 購入予算が少ないので性能も低くて問題ないけれど ThinkPad の特長(※)が欲しいユーザー向け
- 画面が回転しタブレットモードになる 2-in-1 モデルもある
- 液晶サイズは13〜16型と幅広い。
- 価格は低〜中価格。2025年3月時点での購入予算は10〜29万円
(※) ThinkPad の特長
- 筐体の堅牢性
- トラックポイント
- キーボード
- ビジネス向けのセキュリティ機能
Eシリーズ

- Lシリーズと似ており低価格のラインアップシリーズ
- 書類作成やデータ入力といった事務的な作業が中心の中小企業向け
- 家庭での使用には十二分な性能を持っている
- カスタマイズすれば高い性能を手に入れられるが、高性能を望むなら上位のTシリーズも選択の候補にできる
- シングルタスク重視の構成: メモリ 8 GB、プロセッサー AMD Ryzen 3 を選択。
- データ入力だけの事務処理
- ビデオ会議に参加するだけ
- メールの読み書き
- 文書作成
- マルチタスク重視の構成: メモリ 16 GB、プロセッサー Core Ultra 5 または AMD Ryzen 5 以上を選択。
- オンライン授業を受けながらパソコンでノートを取る
- 調べ物をしながらレポートやブログを書く
- 写真を加工する
- フルスクリーンで高画質の動画を見る
- ただし3Dゲームは不可
- 液晶サイズは14〜16型。
- 価格は低価格。2025年3月時点での購入予算は9〜12万円
Zシリーズ

- デザインの趣向が変わった高性能なシリーズ
- 高級なモデルが欲しい人向けで、ThinkPad ブランドの所有欲を満たすことを重視したタイプ
- 液晶サイズ13型のみで、タッチパネル対応
- マルチタスクを重視した高性能な AMD Ryzen Pro プロセッサーを搭載
- 大容量のメモリとストレージ
- 3Dゲームは不可
- 価格は高い。2025年3月時点での購入予算は17万円
おすすめのシリーズ
個人用途で趣味で使うなら「Tシリーズ」のなかでメモリが 16GB 搭載のモデルをおすすめします。 CPU は性能の高いものが搭載されているので気にしなくても大丈夫です。
映像編集したい場合は「Pシリーズ」でグラフィックスに NVIDIA が搭載されているモデルを選びましょう。
通勤通学だったり外出時に持ち運ぶ機会が多いなら軽量な「Xシリーズ」をおすすめします。
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